トリノとオランダ
(後日記・スピードスケートの話題)
いよいよ始まりましたね。寝不足との闘いが。
かの宮本武蔵も兵法の極意を記した「五輪の書」を仕上げるに当たって、
やはり眠気との大いなる戦いを繰り広げていたことでしょう。
私。書ならずも電波が受けられる発光パネルが鎮座する居間。
一丁前にBSもしっかり見られるので、目を離す暇がありません。
競技をしていたこともあって、早速スピードスケートの長距離に刮目。
…っとと、解説は白幡圭史さんじゃないですか。
(かつての戯言)←クリック
清水さん、けなすつもりで書いたわけではありません…
…「努力の天才」はこの後の人生が培って与えられた称号なのですから。
白幡さんが中学3年生の頃、私は1年生。
当時の全北海道中学校スピードスケート選手権大会の会場は
苫小牧ハイランドスポーツセンター屋外スケート場。
3日間の大会期間中に昭和天皇の崩御が伝えられ、
日本の歴史転換期を迎えたのもこの時のこと。
5000m予選は清水宏保(現500m代表)同走の組。
周回13周のレースでラストスパートを2周前に仕掛けて、
ぶっちぎってしまうという、常軌を逸した体力を見せつけ、
その後、そのまま全国チャンピオンになってしまった。
当時からこの人のすごさは、大腿部に乳酸がたまって
圧倒的に後半、足の回転が鈍ることを余儀なくされるこの競技で、
最後の最後に短距離選手並みの伸びを見せることのできる
驚異の末脚があること。
それだけではない。
噂の範疇だが、当時北海道の「内申ランクA※1」とされた
明晰な頭脳。レース展開の緻密な計算がその噂を裏付ける。
※1…北海道の内申ランクは主要5教科に実技4教科を加えた合計点で算出され
AからMまで13段階の区分があり、受験の合否判定の半分を占める。
Aランクは、ほぼ「オール5」に相当する。
…というか、競技場ごとに異なるブレードのメンテナンスとかいろいろ考えることも多く、
アホでは勝てない。一流選手に文武両道な人は多い…とおもふ。
なんというか、当時から別格のオーラが漂ってました。
最後のオリンピックとなったソルトレークでも、
最下位同然の序盤戦から、後半に向けてラップを上げていくという、
世界に類を見ない「ラップ技術」で見事4位入賞。
圧倒的な非力を補って余りある高度な体力温存技術で、
スポーツ新聞の一面を占拠する、自他共に認める会心のレースだった。
スケート選手は「ハリウッドスター並みの賞賛を受ける」という、
スケートマラソン発祥の地オランダ。
観客席の大部分をそのオレンジ色で埋め尽くしてしまう。
そんな目の肥えた大応援団からも、
白幡の「ペースが上がってくる」という驚異の展開に
ソルトレークの地でも周回を重ねるたびにどよめきが上がったという。
「体内時計”31秒”が白幡には備わっている」と評する人、数多。
玄人好みの彼がたたき出した日本記録は、
もう5年も破られていません。
男女とも長距離陣、入賞は今のところないですが、
実況の方が「これだとどうでしょうね」と聞けば
すぐさま残りラップを暗算して瞬時に的確な目標時間を提示する。
実況が一見数字だけで展開を読もうとすると、一呼吸置く間もなく
補足を唱え、裏付けとなる四方山・技術論も納得の解説を加える。
だからといって、展開が緊迫すれば無駄な話を挟んだりもしない。
長距離をこれだけ面白く見せられるのは白幡さん。
明晰な頭脳と、競技を邪魔しない的確な言葉を添える、
あなたの実績、そしてそのセンスがあってのコトですよ。
ううむ。オランダが唸る玄人好みな味が、
引退後の解説席。ここにも。
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